2011/06/07

horror dragonia

本を買う時は値段の点でも収納の点でも文庫本を買おうと思いつつ,やっぱりハードカバーの魅力はその装丁と挿絵だあね。
なので,ホラードラコニアシリーズでも鴻池朋子と山口晃が描き下ろした狐媚記と獏園を思わず購入。何て贅沢!
しかし少女小説集成と謳っているけれど,澁澤龍彦の小説は少女対象になるのかな?
どうしても少女小説って赤毛のアンとか少年少女世界文学全集のような印象があって・・・

でもやっぱり山口晃の絵は見てて飽きないなあ・・・繊細な筆遣い,凄く完成度の高い日本画なのにどこにでもユーモアを交えてくれていて。
狐媚記も,本人が狐に憑かれているのではないか,というほど作品に狐やら狼やらがやたら多い鴻池朋子さんが手がけたものだもの,独特の雰囲気たっぷりです。

しかもあとがきの「存在の不安」が面白い。
人間が出産の瞬間から感じることになる分離の不安は古くからは淫蕩行為,また新しくは集団的陶酔によって克服されるもの。オットーランクによれば,マゾヒストが苦痛を愛するのは出産時の疼痛の快適な環境を再現したいため。ふーん。

とにかく,これは小説本というよりアート本でした。

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